登録販売者試験に合格するために独学で学ばれてる方にも
分かりやすく解説とポイントを押さえていきます。
過去問題から作成したテストもあります。
さぁ、合格目指して頑張っていきましょう。
2章は僕が担当するよ。
第2章 人体の働きと医薬品 Ⅰ人体の構造と働き を解説します。
Ⅰ 人体の構造と働き
ヒトの体は、細胞が集まって構成されており、関連する働きを持つ細胞が集まって組織を作り、
複数の組織が組み合わさって一定の形態を持ち、特定の働きをする器官が形成されます。器官が互
いに連絡して協働し、全体として一つの機能を持つ場合、それらを器官系といいます。
村(細胞)→市(組織)→都道府県(器官)→国(器官系)みたいな感じかな
1 胃・腸、肝臓、肺、心臓、腎臓などの内臓器官
1)消化器系
飲食物を消化して生命を維持していくため必要な栄養分として吸収し、その残滓しを体外に排出する器官系です。これに関わる器官として、次のものがあります。
- 消化管:口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、肛門
- 消化腺:唾液腺、肝臓、胆嚢、膵臓など
消化管は、口腔から肛門まで続く管で、平均的な成人で全長約9mあるんだって
飲食物はそのままの形で栄養分として利用できず、消化管で吸収される形に分解する必要がありますが、これを消化といいます。消化には、消化腺から分泌される消化液による化学的消化と、咀嚼(食物を噛かみ、口腔内で粉砕すること)や消化管の運動による機械的消化とがあります。
- 化学的消化:消化液に含まれる消化酵素の作用によって飲食物を分解する
- 機械的消化:口腔における咀嚼や、消化管の運動などによって消化管の内容物を細かくして消化液と混和し、化学的消化を容易にする
(a) 口腔
① 歯
歯は、歯周組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質)によって上下の顎の骨に固定されています。歯槽骨の中に埋没している歯の部分を歯根、歯頚(歯肉線のあたり)を境に口腔に露出する部分を歯冠といいます。
歯冠の表面はエナメル質で覆われ、体で最も硬い部分となっています。エナメル質の下には象牙質と呼ばれる硬い骨状の組織があり、神経や血管が通る歯髄を取り囲んでいます。歯の齲蝕が象牙質に達すると、神経が刺激されて、歯がしみたり痛みを感じるようになります。
齲蝕(うしょく)とは口腔内の常在細菌が糖質から産生する酸で歯が脱灰されることによって起こる歯の欠損。いわゆる「むし歯」のことです
② 舌
舌の表面には、舌乳頭という無数の小さな突起があり、味覚を感知する部位である味蕾(みらい)が分布しています。舌は味覚を感知するほか、咀嚼された飲食物を撹拌して唾液と混和させる働きがあります。
甘味、塩味、酸味、苦味等
これらの味は舌の味蕾で感じます
③ 唾液腺
唾液を分泌し、食物を湿潤させてかみ砕きやすくし、また、咀嚼物を滑らかにして嚥下を容易にします。
唾液には、デンプンをデキストリンや麦芽糖に分解する消化酵素(プチアリン。唾液アミラーゼともいう。)が含まれ、また、味覚の形成にも重要な役割を持ちます。
唾液は、リゾチーム等の殺菌・抗菌物質を含んでおり、口腔粘膜の保護・洗浄、殺菌等の作用もあります。また、唾液によって口腔内は pH がほぼ中性に保たれ、酸による歯の齲蝕を防いでいます。
転んで擦りむいた時、じぃじが「唾つけとけば治る」って言ってたけど唾液には殺菌・抗菌物質があるからあながち本当なのかも!?
(b) 咽頭、食道
咽頭は、口腔から食道に通じる食物路と、呼吸器の気道とが交わるところです。飲食物を飲み込む運動(嚥下)が起きるときには、喉頭の入り口にある弁(喉頭蓋)が反射的に閉じることにより、飲食物が喉頭や気管に流入せずに食道へと送られます。
食道は喉もとから上腹部のみぞおち近くまで続く、直径1~2cm の管状の器官で、消化液の分泌腺はありません。嚥下された飲食物は、重力によって胃に落ち込むのでなく、食道の運動によって胃に送られます。食道の上端と下端には括約筋があり、胃の内容物が食道や咽頭に逆流しないように防いでいます。胃液が食道に逆流すると、むねやけが起きます。
喉頭の入り口にある弁(喉頭蓋)が反射的に「閉じる」だよ。
あと、食道には、消化液の分泌腺はないからね
(c) 胃
上腹部にある中空の臓器で、中身が空の状態では扁平に縮んでいますが、食道から内容物が送られてくると、その刺激に反応して胃壁の平滑筋が弛緩し、容積が拡がります(胃適応性弛緩)。
胃の役割と特徴はね
- 胃の内壁は粘膜で覆われて多くのひだをなしてる。
- 粘膜の表面には無数の微細な孔があり、胃腺につながって塩酸(胃酸)のほか、ペプシノーゲンなどを分泌している。
- ペプシノーゲンは胃酸によって、タンパク質を消化する酵素であるペプシンとなり、胃酸とともに胃液として働く。
- タンパク質がペプシンによって半消化された状態をペプトンという
- 胃酸は、胃内を強酸性に保って内容物が腐敗や発酵を起こさないようにする役目も果たしている。
- 胃液による消化作用から胃自体を保護するため、胃の粘膜表皮を覆う細胞から粘液が分泌されてる。胃液分泌と粘液分泌のバランスが崩れると、胃液により胃の内壁が損傷を受けて胃痛等の症状を生じることがある
- 胃粘液に含まれる成分は、小腸におけるビタミンB12の吸収にも重要な役割を果たしている。
- 食道から送られてきた内容物は、胃の運動によって胃液と混和され、かゆ状となって小腸に送り出されるまで数時間、胃内に滞留する。滞留時間は、炭水化物主体の食品の場合には比較的短く、脂質分の多い食品の場合には比較的長い
ペプシノーゲン? ペプシン? ペプトン?
〇胃腺から胃酸とペプシノーゲンが分泌される
〇胃酸によってペプシノーゲンはたんぱく質を消化する酵素のペプシンになる
〇ペプシンによってたんぱく質が半消化された状態をペプトンという
こんな感じで覚えよう。よく出題されるよ。
(d) 小腸
全長6~7mの管状の臓器で、十二指腸、空腸、回腸の3部分に分かれます。
十二指腸
十二指腸は、胃から連なる約25cm のC字型に彎曲した部分で、彎曲部には膵臓からの膵管と胆嚢からの胆管の開口部があって、それぞれ膵液と胆汁を腸管内へ送り込んでいます。
腸の内壁からは腸液が分泌され、十二指腸で分泌される腸液に含まれる成分の働きによって、膵液中のトリプシノーゲンがトリプシンになります。トリプシンは、胃で半消化されたタンパク質(ペプトン)をさらに細かく消化する酵素です。
空腸、回腸
小腸のうち十二指腸に続く部分の、概ね上部40%が空腸、残り約60%が回腸ですが、明確な境目はありません。
空腸で分泌される腸液(粘液)に、腸管粘膜上の消化酵素(半消化されたタンパク質をアミノ酸まで分解するエレプシン、炭水化物を単糖類(ブドウ糖、ガラクトース、果糖)まで分解するマルターゼ、ラクターゼ等)が加わり、消化液として働きます。
小腸の運動によって、内容物がそれらの消化液(膵液、胆汁、腸液)と混和されながら大腸へと送られ、その間に消化と栄養分の吸収が行われます。
小腸は栄養分の吸収に重要な器官であるため、内壁の表面積を大きくする構造を持ちます。十二指腸の上部を除く小腸の内壁には輪状のひだがあり、その粘膜表面は 絨毛(柔突起ともいう)に覆われてビロード状になっています。絨毛を構成する細胞の表面には、さらに微絨毛が密生して吸収効率を高めています。
炭水化物とタンパク質は、消化酵素の作用によってそれぞれ単糖類、アミノ酸に分解されて吸収されます。脂質(トリグリセリド)は、消化酵素(リパーゼ)の作用によって分解を受けますが、小腸粘膜の上皮細胞で吸収されると脂質に再形成され、乳状脂粒(リポタンパク質の一種でカイロミクロンとも呼ばれる)となります。その際、脂溶性ビタミンも一緒に取り込まれます。
(e) 膵臓
膵臓の主な役割は
- 胃の後下部に位置する細長い臓器で、膵液を十二指腸へ分泌する。
- 膵液は弱アルカリ性で、胃で酸性となった内容物を中和するのに重要。
- 膵液は、消化酵素の前駆体タンパクであり消化管内で活性体であるトリプシンに変換されるトリプシノーゲンのほか、デンプンを分解するアミラーゼ(膵液アミラーゼ)、脂質を分解するリパーゼなど、多くの消化酵素を含んでいる。すなわち、膵臓は、炭水化物、タンパク質、脂質のそれぞれを消化するすべての酵素の供給を担ってる。
- 膵臓は、消化腺であるとともに、血糖値を調節するホルモン(インスリン及びグカゴン)等を血液中に分泌する内分泌腺でもある。
インスリン:血糖値を下げる
グルカゴン:血糖値を上げる
(f) 胆嚢、肝臓
胆嚢
胆嚢は、肝臓で産生された胆汁を濃縮して蓄える器官で、十二指腸に内容物が入ってくると収縮して腸管内に胆汁を送り込みます。胆汁に含まれる胆汁酸塩(コール酸、デオキシコール酸等の塩類)は、脂質の消化を容易にし、また、脂溶性ビタミンの吸収を助けます。腸内に放出された胆汁酸塩の大部分は、小腸で再吸収されて肝臓に戻されます(腸肝循環)。
胆汁には、古くなった赤血球や過剰のコレステロール等を排出する役割もあります。胆汁に含まれるビリルビン(胆汁色素)は、赤血球中のヘモグロビンが分解されて生じた老廃物で、腸管内に排出されたビリルビンは、腸管内に生息する常在細菌(腸内細菌)によって代謝されて、糞便を茶褐色にする色素となります。
肝臓
肝臓は、大きい臓器であり、横隔膜の直下に位置します。胆汁を産生するほかに、主な働きとして次のようなものがあります。
- 栄養分の代謝・貯蔵
小腸で吸収されたブドウ糖は、血液によって肝臓に運ばれてグリコーゲンとして蓄えられる。
グリコーゲンは、ブドウ糖が重合してできた高分子多糖で、血糖値が下がったときなど、必要に応じてブドウ糖に分解されて血液中に放出される。皮下組織等に蓄えられた脂質も、一度肝臓に運ばれてからエネルギー源として利用可能な形に代謝される。また、肝臓は、脂溶性ビタミンであるビタミンA、D等のほか、ビタミンB6やB12等の水溶性ビタミンの貯蔵臓器でもある。 - 生体に有害な物質の無毒化・代謝
消化管等から吸収された、又は体内で生成した、滞留すると生体に有害な物質を、肝細胞内の酵素系の働きで代謝して無毒化し、又は体外に排出されやすい形にする。医薬品として摂取された物質の多くも、肝臓において代謝される。アルコールの場合、胃や小腸で吸収されるが、肝臓へと運ばれて一度アセトアルデヒドに代謝されたのち、さらに代謝されて酢酸となる。アミノ酸が分解された場合等に生成するアンモニアも、体内に滞留すると有害な物質であり、肝臓において尿素へと代謝される。ヘモグロビンが分解して生じたビリルビンも肝臓で代謝されるが、肝機能障害や胆管閉塞などを起こすとビリルビンが循環血液中に滞留して、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる症状)を生じる。 - 生体物質の産生
生体物質とは生物の体内に存在する化学物質の総称であり、胆汁酸やホルモンなどの生合成の出発物質となるコレステロール、フィブリノゲン等の血液凝固因子、アルブミン等、生命維持に必須な役割を果たす種々の生体物質は、肝臓において産生される。また、肝臓では、必須アミノ酸以外のアミノ酸を生合成することができる。
二日酔いの症状は、体内での中間代謝物であるアセトアルデヒドの毒性によるものと考えられています
肝臓は大きな臓器だけあっていろんな役割があるね
うんうん。試験にもよく出題されるね。
特に赤字はしっかり覚えようね
アセトアルデヒド→酢酸
アミノ酸→アンモニア→尿素
だよ
過去問にチャレンジ
消化器系に関する記述の正誤を答えよ。
- 胃の内壁は粘膜で覆われ、その表面には無数の微細な孔があり、胃腺につながって塩酸( 胃酸) などを分泌している。
- 十二指腸の上部を除く小腸の内壁には輪状のひだがあり、その粘膜表面は絨毛( 柔突起ともいう) に覆われてビロード状になっている。
- 膵臓は、消化腺であるとともに、血糖値を調節するホルモン( インスリン及びグルカゴン) 等をリンパ液中に分泌する内分泌腺である。
- 肝臓は、脂溶性ビタミンであるビタミンA 、D等や水溶性ビタミンであるビタミンB6 、B1 2 等の貯蔵臓器である。
解答と解説
(1)〇
(2)〇
(3)× :血液中に分泌する内分泌腺でもある
(4)〇
(g) 大腸
盲腸、虫垂、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸からなる管状の臓器で、内壁粘膜に 絨毛がない点で小腸と区別されます。腸の内容物は、大腸に入ってきたときはかゆ状ですが、大腸の運動によって腸管内を通過するに従って水分とナトリウム、カリウム、リン酸等の電解質の吸収が行われ、固形状の糞便が形成されます。大腸では消化はほとんど行われません。大腸の粘膜から分泌される粘液(大腸液)は、便塊を粘膜上皮と分離しやすく滑らかにします。
大腸内には腸内細菌が多く存在し、腸管内の食物繊維(難消化性多糖類)を発酵分解します。大腸の粘膜上皮細胞は、腸内細菌が食物繊維を分解して生じる栄養分を、その活動に利用しており、大腸が正常に働くには、腸内細菌の存在が重要です。また、大腸の腸内細菌は、血液凝固や骨へのカルシウム定着に必要なビタミンK等の物質も産生しています。なお、腸内細菌による発酵で、糞便の臭気の元となる物質やメタン、二酸化炭素等のガスが生成されます。
通常、糞便の成分の大半は水分で、そのほか、はがれ落ちた腸壁上皮細胞の残骸(15~20%)や腸内細菌の死骸(10~15%)が含まれ、食物の残滓は約5%に過ぎない。
糞便となって直腸に達すると、刺激が脳に伝わって便意を生じます。
直腸は、大腸の終末の部分で、肛門へと続いています。通常、糞便は下行結腸、S状結腸に滞留し、直腸は空になっています。S状結腸に溜まった糞便が直腸へ送られてくると、その刺激に反応して便意が起きます。
十二指腸の上部を除く小腸の粘膜表面は 絨毛に覆われているけど
大腸には絨毛がないからね
へぇ~。
それと、うんちの成分の大半は水分で、
食物の残滓はたったの約5%なんだね
うんうん。
試験にもそこは出題されることも多いよ
(h) 肛門
直腸粘膜が皮膚へと連なる体外への開口部である。直腸粘膜と皮膚の境目になる部分には歯状線と呼ばれるギザギザの線があります。肛門周囲は肛門括約筋で囲まれており、排便を意識的に調節することができます。また、静脈が細かい網目状に通っていて、肛門周囲の組織がうっ血すると痔の原因となります。
過去問にチャレンジ
消化器系に関する記述の正誤を答えよ。
- 膵液は弱アルカリ性であり、胃で酸性となった内容物を中和するのに重要である。
- 胆汁には、古くなった赤血球や過剰のコレステロール等を排出する役割がある。
- 肝臓に蓄えられたグリコーゲンは、ブドウ糖が重合してできた高分子多糖で、血糖値が下がったときなど、必要に応じてブドウ糖に分解されて血液中に放出される。
- 肛門周囲は肛門括約筋で囲まれており、排便を意識的に調節することができない。
解答と解説
(1)〇
(2)〇
(3)〇
(4)× : 肛門周囲は肛門括約筋で囲まれており、排便を意識的に調節することができます
お疲れさまでした
2章は体のことをいっぱい覚える必要があるけれど、
体全体のイメージを掴むことができるかがポイントだよ